SPECIAL CONTENTS 未来をまわせるベアリングがある

想像を超えるベアリングの歴史

ピラミッドの建設のために、石を運ぶ姿を描いた古代エジプトの絵画には、石の下にころを置き、引いて運んでいるものがあります。これこそが、ベアリングの原点です。今から何千年も前の古代に、重いものを軽く運ぶための知恵として、すでに実用化されていたのです。

15世紀、レオナルド・ダ・ヴィンチ考案の転がり軸受のデッサン図
デッサン図をもとに再現した玉軸受の模型

現代のベアリングの基本的な原理・構造は、中世産業革命の時代に形作られました。考案したのは、ルネッサンス期の芸術家・レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼は、今あるものとほぼ同じ構造と言えるベアリングのデッサン図を描き残しています。

ベアリングの構造と役割

ベアリング(bearing)の「ベア(bear)」とは英語で「支える」という意味があります。その言葉通り、回転する軸を支える役割を果たすのがベアリングなのです。大きく分けて、「転がり軸受」と「滑り軸受」がありますが、「転がり軸受」の方が一般的と言えます。
転がり軸受の基本構造は、「外輪」と「内輪」、その間にある「転動体」、さらにその転動体を分離する「保持器」からなります。転動体には、玉ところがあります。さらにころには、その形状が円筒状のころ、円錐状のころ、球面状のころなどがあります。
軸の回転に合わせて転動体も回転することで、摩擦抵抗を極めて小さく抑えることができるため、多くの機械に見られる回転軸の支持部分には、ベアリングが用いられているのです。

社会で幅広く活躍するベアリング

「産業の米」と呼ばれるベアリング。回転する軸を持つ機械には、ほぼ必ずベアリングが用いられていると言っても過言ではありません。今や自動車をはじめ、産業機械、家電製品、情報機器、ロボットに至るまで、社会を支えるさまざまな機械において、欠かせないキーパーツとして活躍しています。あなたが気づかない身近なところで、実はしっかり社会をまわしている、それがベアリングなのです。